間取り図ってそもそも何を表してるの?図面の基本をおさらい
家づくりの情報を調べはじめると、必ず出てくるのが“間取り図”。
でも、いざ見てみると…
「LDKって?UBって?この記号なに?」
「どこが玄関で、どこがリビングなのかもよくわからない…」
そんな風に戸惑ったことはありませんか?
実は、間取り図は“暮らしの設計図”ともいえる大切な情報源。
なんとなく眺めているだけでは気づけない、“暮らしやすさ”のヒントがたくさん詰まっています。
今回は、そんな間取り図の見方をゼロからおさらいして、
初心者でも「わかる」「選べる」視点を手に入れましょう。
間取り図とは“家の中を上から見た図”
まず、間取り図は家の中を真上から見た図(平面図)です。
玄関・リビング・キッチン・お風呂・トイレ・寝室などの位置関係を
ひと目で把握できるように描かれています。
たとえば、
- ✔ 家の中をどう移動するか(動線)
- ✔ 部屋の広さのバランス
- ✔ 収納の数や場所
などが図面上にシンプルに表現されているのが特徴です。
この図面を読むことで、暮らしのイメージがしやすくなり、
“この家は自分たちに合っているか”を判断する材料になります。
1階・2階・3階…階ごとに別れているのが基本
間取り図は、1枚で家全体を表しているわけではありません。
通常は:
- ✔ 1階平面図
- ✔ 2階平面図
- ✔ (3階やロフトがある場合はその分の図面)
のように、フロアごとに別れて表記されています。
家全体を把握したいときは、まず1階から順に見ていくのがおすすめです。
縮尺と方位も大事なポイント
間取り図には、縮尺(スケール)と方位(方角)が必ず記載されています。
たとえば:
- ✔ 1:100 → 1cmが現実の1mを表す
- ✔ 北マーク(N) → 家のどの方向が北かを示す
この2つを見ることで、
- ・部屋の広さを実際の大きさでイメージ
- ・リビングにどれくらい日が入るかを確認
といった「住んだときのリアルな感覚」を想像しやすくなります。
壁や窓、扉の種類も“記号”でチェック
間取り図には、部屋の配置だけでなく、
- ✔ 壁の厚さ(太線や二重線)
- ✔ 引き戸・開き戸の向き
- ✔ サッシや窓の種類(片開き・FIXなど)
などもすべて図面上の記号で表現されています。
このあたりの記号が「見てもよくわからない…」と感じる部分でもあるため、
次章では「LDK」「UB」「CL」…よく出てくる略語の意味とチェックポイントについて、
図面を読み解くための基本用語をやさしく解説していきます。
「LDK」「UB」「CL」…よく出てくる略語の意味とチェックポイント
間取り図を見ていると、必ずといっていいほど目にするのが、
「LDK」「UB」「CL」「WIC」といった略語や記号。
初めて家づくりに向き合う方にとっては、
「英語のような日本語のような…よくわからない!」と
混乱の原因になることも少なくありません。
でも、それぞれの意味を知ってしまえば、
図面がグッと読みやすくなり、「暮らしのイメージ」がしやすくなります。
ここでは、よく出てくる間取り図の略語と、そのチェックポイントをやさしく解説します。
LDK:リビング・ダイニング・キッチンのこと
「LDK」は家の“顔”ともいえる空間。
それぞれの意味は以下の通りです。
- L=Living(リビング:くつろぎ空間)
- D=Dining(ダイニング:食事スペース)
- K=Kitchen(キッチン:台所)
たとえば「3LDK」と書かれていれば、
- ✔ リビング・ダイニング・キッチンが一体となった空間+3つの独立した部屋
という意味になります。
チェックポイント:
・LDKの広さ(一般的に14畳以上で“広め”と感じやすい)
・キッチンからリビングが見えるか(子育て中は特に重要)
・家具の配置がしやすそうか
UB:ユニットバス(お風呂+洗い場)
「UB」はお風呂のエリア。
ユニットバス=浴槽と洗い場が一体型の設備です。
一戸建ての場合は、
「浴室」と表記されていることもあります。
チェックポイント:
・窓付きかどうか(換気・湿気対策)
・洗面所との動線(タオル・着替えの収納スペースも含めて確認)
・家事動線と洗濯機置き場の位置関係
CL:クローゼット、WIC:ウォークインクローゼット
「CL」は衣類収納などに使われるクローゼット。
「WIC(ウォークインクローゼット)」は、
人が中に入って使える広めの収納スペースを意味します。
収納は“家事ラク”や“散らからない暮らし”に直結する重要な要素です。
チェックポイント:
・寝室や子ども部屋にCLがあるか
・WICがある場合、動線上で使いやすい位置にあるか
・季節ものや布団などの“かさばるもの”を入れる場所が確保できているか
他にもある!見慣れない略語や記号一覧
よく出てくるその他の略語や記号も、一部ご紹介します:
- ✔ SIC:シューズインクローゼット(玄関脇の収納)
- ✔ PS:パイプスペース(水道管などの点検口)
- ✔ MB:メーターボックス(ガス・電気などの計器)
- ✔ R:冷蔵庫置き場
- ✔ W:洗濯機置き場(Washer)
これらの記号を知っておくだけで、
間取り図の「記号だらけでよくわからない!」というストレスが激減します。
次の章では、方位・採光・風通し…“暮らしやすさ”に直結する見逃しがちな点について、
図面上で“実際の暮らし”を想像するための視点を掘り下げていきます。
方位・採光・風通し…“暮らしやすさ”に直結する見逃しがちな点
間取り図を見ていると、
「とにかく南向きがいいんでしょ?」
「日当たりさえよければ快適なはず!」
そんなふうに考えてしまいがちですよね。
でも実は、方位や採光、風通しなどの“自然条件”をどう活かすかは、
単なる「方角の良し悪し」以上に暮らしの快適さを大きく左右する要素なのです。
ここでは、図面を見るときに見逃しがちな、“自然を味方にする”視点を解説します。
南向き=絶対ではない!本当に見るべきは「窓の配置」
たしかに「南向き」は日当たりが良くて人気ですが、
南側に大きな建物があったら、意味がありません。
それよりも大切なのは、
- ✔ 部屋の中にどれだけ自然光が入るか
- ✔ 窓の大きさ・数・位置
- ✔ 採光が必要な場所(LDK・洗面所・子ども部屋など)に窓があるか
という“間取りと窓のバランス”です。
「南向きじゃなくても明るい家」はたくさんありますし、
逆に「南向きなのに暗いリビング」も意外とあるので注意が必要です。
風通しの良さは「窓の対角線」に注目
風通しがいい家にするには、
「風の入り口」と「抜ける出口」が必要です。
間取り図を見るときは:
- ✔ 部屋の対角線上に2カ所以上の開口部(窓・ドア)があるか
- ✔ 吹き抜けや階段に窓が設けられているか
- ✔ トイレや洗面所に小窓があるか(換気がしやすい)
などをチェックすると、自然な風の流れが生まれる設計かどうかがわかります。
風が抜ける家は、
- ✔ 夏にエアコンに頼りすぎなくても涼しい
- ✔ 湿気やニオイがこもりにくい
という毎日の快適さに直結する効果があるんです。
「西日が強すぎる」など“光の質”もチェック
採光は多ければ良い、というわけではなく、
“時間帯”や“光の強さ”にも注目が必要です。
たとえば:
- ✔ 西向きの大きな窓 → 夏場は強烈な西日で室温上昇
- ✔ 北向きの窓 → 安定したやわらかい光が入る
- ✔ 東向きの寝室 → 朝日で自然に目覚められる
というように、“窓の向き”が日常生活に与える影響は意外と大きいのです。
「明るさ」だけでなく「光の質・時間帯」までイメージできると、
間取り図の見え方がぐっと変わります。
隣家との距離も“図面の外”に注目してみる
図面上は理想的でも、
- ✔ 隣の家と窓が向かい合っていて丸見え
- ✔ 隣家の建物がすぐそこまで迫っていて暗い
なんてことも、実際には起こり得ます。
図面だけで判断せず、
建物配置図や現地写真・周辺状況の確認もあわせてチェックしましょう。
次の章では、生活動線をどう見る?ママ目線で“ラクな家事動線”の見極め方について、
図面から“暮らしやすさの実感”を見抜くコツをお届けします。
生活動線をどう見る?ママ目線で“ラクな家事動線”の見極め方
「家事がしやすい家にしたい」
これは多くのママが間取り図を見ながら感じている願いですよね。
でも実際には、
- ✔ 玄関からキッチンが遠くて買い物袋が重い
- ✔ 洗濯動線が悪くて干す・たたむ・しまうのがバラバラ
- ✔ 朝の混雑時に家族同士がぶつかってストレス
など、“動線の設計ミス”が暮らしのストレスになってしまうことも。
そこで今回は、間取り図から読み取れる「家事ラク動線」の見極め方をご紹介します。
まずは“家事動線”と“生活動線”を分けて考える
動線とは、「人の動き(移動ルート)」のこと。
間取り図を見るときは、
- ✔ 家事動線(洗濯・料理・掃除など)
- ✔ 生活動線(玄関→リビング、トイレ→寝室など)
を分けてチェックすると、快適な間取りかどうかがぐっとわかりやすくなります。
洗濯動線:洗う→干す→たたむ→しまう、が一直線になってる?
洗濯動線でチェックしたいのは、
- ✔ 洗濯機のある洗面室の位置
- ✔ 室内干し・バルコニーまでの距離
- ✔ 収納場所(クローゼットなど)までの動きやすさ
たとえば、
- ・洗面室に室内干しスペースがある
- ・隣のWICにそのまま収納できる
という間取りは、最短距離で“洗濯が終わる”家事ラクな動線の代表例です。
買い物動線:玄関→キッチンがスムーズか?
買い物帰りに重たい袋を持って移動するのは、地味に大変な作業。
そんなときに便利なのが、
- ✔ 玄関→パントリー→キッチンとつながっている動線
- ✔ 玄関横に勝手口や土間収納がある
など、“買ったものをすぐにしまえる仕組み”があるかどうか。
図面でキッチンが遠かったり、ぐるっと回り込むような導線になっていないか、しっかり確認しましょう。
水回りの集約で「掃除」「配管コスト」もラクに
キッチン・洗面・トイレ・お風呂などの“水回り”は、
できるだけワンエリアにまとめる(集約)のがポイント。
これにより、
- ✔ 掃除がラク
- ✔ 家族の動きがスムーズ
- ✔ 建築コスト(配管)が抑えられる
といった暮らし&家計のWメリットが生まれます。
朝のバタバタを防ぐ!家族がぶつからない“すれ違い設計”
朝の時間帯にトイレや洗面所、キッチンが混雑して
「順番待ち!」「通れない!」なんてこと、ありませんか?
そんな時は、
- ✔ トイレと洗面を別ルートに
- ✔ LDKを回遊できるように
など、人の流れが交差しにくい設計ができているかも注目ポイントです。
次の章では、図面を見てもピンとこないときは?“体感”で理解する方法もあるについて、
図面だけでは伝わらない“暮らしのリアル”をどう補うかを紹介していきます。
図面を見てもピンとこないときは?“体感”で理解する方法もある
「間取り図は見たけど、なんだかイメージが湧かない…」
そう感じるのは、あなただけではありません。
図面はあくまで“上から見た平面の情報”。
実際の広さや高さ、空気感までは伝わってこないものです。
でも安心してください。
そんなときは、“体感”で理解する方法を取り入れるのがおすすめです。
モデルハウスや完成見学会で“広さのリアル”を感じる
一番わかりやすいのが、モデルハウスや完成見学会に実際に足を運ぶこと。
特に狭小住宅やコンパクトな設計を検討している場合は、
- ✔ 14畳のLDKって実際どれくらいの広さ?
- ✔ トイレ・洗面スペースって狭く感じない?
- ✔ クローゼットの奥行きに布団って入る?
など、“目で見て・触れて・動いて”わかる情報がたくさんあります。
VRや3Dで“図面が立体になる”ツールを活用
最近では、図面からVR(バーチャルリアリティ)や3Dモデルを作ってくれる
ハウスメーカーや工務店も増えています。
スマホやタブレットで、
- ✔ 室内をぐるぐる見渡せる
- ✔ 実際の動線を歩いているように感じられる
- ✔ 家具を置いたときの雰囲気がイメージできる
という便利な仕組みで、図面上では分からない「感覚」を補ってくれます。
家具の寸法や“いつもの生活”と照らし合わせてみる
意外と効果的なのが、
今使っている家具や家電のサイズと間取り図を照らし合わせてみること。
たとえば:
- ✔ 冷蔵庫の横幅は○cm → 図面上で収まる?
- ✔ ダイニングテーブルのサイズ+人が座るスペースは足りる?
- ✔ ベビーカーや自転車は玄関に置ける?
こうしたリアルな“生活感”で見ていくと、
図面が「実際の暮らし」とつながって見えてくるようになります。
わからない時は「聞く」も大切な選択肢
それでもピンとこない時は、
遠慮せずにプロに聞いてOKです。
営業担当や設計士さんに、
- ✔ この間取りでベビーカーはどこに置きますか?
- ✔ 洗濯動線って、干す→しまうまでどう動くんですか?
といった“自分たちの生活”を前提にした質問を投げてみましょう。
理解が深まり、「この間取りなら大丈夫!」という納得感につながります。
\この記事のまとめ/
- 間取り図は「暮らしの設計図」。見方を知れば判断軸が明確になる
- よく出てくる略語(LDK・UB・CLなど)は意味と役割を押さえる
- 採光・風通し・生活動線など「暮らしやすさ」に直結するポイントを見逃さない
- ピンとこないときは「体感」や「相談」で図面を“自分ごと”にしていく
家を選ぶとき、間取り図は“ただの図面”ではありません。
そこには、毎日をどう暮らすか、家族とどう過ごすかが詰まっています。
少しずつ読み方を知っていけば、
「どんな家が自分たちに合っているのか」が、きっと見えてくるはずです。
焦らず、一歩ずつ。
“暮らしの目線”で間取り図を見ることから、理想の家づくりを始めていきましょう。
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