建物価格=家の総額じゃない!? 知らないと怖い“諸費用”の正体
「あれ?見積書には建物価格が2,000万円って書いてある。これで家が建つのかな?」
そう思っていたのに、いざ話を進めると、
「諸費用が+500万円かかります」
「外構工事は別途です」
「ローン手数料や登記費用も別で必要です」
といった言葉にびっくりしたことはありませんか?
そう、実は「建物価格=家の総額」ではないんです。
本当に必要なのは、“家そのもの”に加えてかかる「見えないお金」=諸費用まで含めた資金計画。
今回は、「えっ、そんなにかかるの!?」と思わず驚いてしまう、家づくりにおける“諸費用の正体”をやさしく解説します。
「諸費用」ってなに?ざっくり言うと“家の外側と手続き費”
諸費用とは、建物本体工事費以外にかかる、「住める状態にするまでのあらゆる費用」のこと。
具体的には以下のような項目が含まれます:
- ✔ 地盤調査・改良費
- ✔ 外構工事(駐車場・塀・フェンス・庭など)
- ✔ 水道・電気・ガスの引き込み工事
- ✔ 登記費用(所有権・抵当権)
- ✔ ローン手数料・保証料
- ✔ 火災保険料
- ✔ 印紙代・不動産取得税
これらの費用は最低でも建物価格の5~10%程度、多ければ15%以上かかることも。
たとえば、建物価格2,000万円なら、諸費用は200万~300万円程度を見ておく必要があります。
「建物本体価格」だけじゃ生活は始められない
多くの人が最初に見るのが「建物本体価格」。
たとえば、住宅メーカーのチラシに「1,980万円で夢のマイホーム!」と書いてあると、
「それならうちも建てられるかも…!」と思いますよね。
でも実際には:
- ✔ 地盤が弱くて改良工事に+80万円
- ✔ フェンスや駐車場をつけたら+100万円
- ✔ ローン手数料や保険で+50万円
など、気づかぬうちに総額が500万円以上オーバーするケースも少なくありません。
「思ってたよりお金がかかる…」と後から慌てないためにも、
“住める状態にするまでにかかる費用”を最初に知っておくことが本当に大切です。
諸費用の中でも見落としがちなものは?
中でも見落としがちなのが、次の3つ:
- ① 火災保険料(5年~10年で数十万円)
ローンを組む場合は加入が必須で、一括支払いが基本。 - ② 登記費用(30万~50万円)
司法書士に依頼する手続きで、土地と建物に関わる登録。 - ③ ローン関係手数料(保証料・事務手数料など)
金融機関によって異なるが、50万円近くかかることも。
これらは「建築費と関係ない」と思って後回しにされがちですが、
確実にかかる費用なので、必ず最初に把握しておきましょう。
「本体+諸費用=家の予算」と考えよう
家づくりを考えるとき、
✔ 土地価格
✔ 建物価格
✔ 諸費用
の3つを足して初めて“家の総額”になります。
つまり、建物が2,000万円でも、
土地が1,500万円、諸費用が400万円なら、
総額は約3,900万円。
この「総額」を最初に知っておけば、
- ✔ ローンの借入額を見誤らない
- ✔ 頭金や補助金の使い道を計画できる
- ✔ 最初から予算内でプランを立てられる
という大きなメリットがあります。
次の章では、狭小住宅ならではの追加コストって?基礎工事・3階建ての注意点について、
「小さい家=安い」と思いがちな盲点をやさしく解説していきます。
狭小住宅ならではの追加コストって?基礎工事・3階建ての注意点
「敷地が狭いから、建築費も安く済むはず」
そう思っていたのに、見積もりを出してみたら予想より高い…。
そんな経験をした人は少なくありません。
実は、狭小住宅=コストが安いというわけではなく、
“狭いからこそ”発生する独自の追加費用がいくつかあるのです。
ここでは、特に注意しておきたい「基礎工事」と「3階建て」にかかわる
狭小住宅特有のコスト事情について解説します。
狭小地ほど“基礎工事”が割高になりやすい
建物の土台となる基礎工事は、地盤の強さや敷地条件によって費用が大きく変わる部分。
狭小住宅では:
- ✔ 敷地が狭くて重機が入れない
- ✔ 手作業が多くなり、人件費がかさむ
- ✔ 隣家との距離が近くて“養生費”がかかる
といった理由で、同じ延床面積の家よりも基礎工事が割高になる傾向があります。
さらに、土地が軟弱な場合は「地盤改良」が必要となり、
- ✔ 表層改良:20万円〜
- ✔ 鋼管杭:60万円〜100万円
といった追加費用が発生する可能性も。
「地盤調査は無料」という会社もありますが、
“改良工事が必要かどうか”をあらかじめ確認しておくと安心です。
3階建ては構造が複雑=設計・建築費も上がる
都市部では、敷地の広さを補うために「3階建て」が選ばれることが多くなっています。
ただし、3階建て住宅には次のような特有のコストアップ要因があります:
- ✔ 構造計算(許容応力度計算)に基づく設計 → 設計費が割高
- ✔ 建築確認の審査が厳しい → 許認可に時間と費用がかかる
- ✔ 耐火仕様・階段設計など、資材コストが増える
また、3階建てを建てられるかどうかは、地域の建築基準(容積率・高度地区制限など)にもよります。
「建てられると思っていたのにNGだった…」というケースもあるため、
早めにハウスメーカーや工務店に確認しておきましょう。
狭小住宅では「施工性」にもコストがかかる
狭い敷地では:
- ✔ 工事車両が入らない
- ✔ 資材を人力で搬入
- ✔ 隣家との距離が近く、防音・防塵対策が必要
といった“施工上の手間”が増えるため、人件費や工期も長くなりがちです。
このような現場条件の違いが、結果的に建築費用の上昇につながることがあります。
「コンパクトな家なのに、意外と高い…」と感じる背景には、
こうした施工性の問題があることを知っておくと、資金計画で後悔が少なくなります。
だからこそ、狭小住宅は“最初の資金計画”が重要
建物が小さい分、安く建てられると思ってしまいがちですが、
狭小住宅には“狭さゆえのコスト”があることを忘れてはいけません。
「価格に納得してからプランを詰める」のではなく、
最初から総費用を明確にして、そこに合わせたプランを考えるのが大切です。
次の章では、土地購入・ローン・登記…家以外にかかるお金を全部見える化しようについて、
“建物以外”の大事な支出項目を整理していきます。
土地購入・ローン・登記…家以外にかかるお金を全部見える化しよう
家づくりを考えるとき、つい建物の費用ばかりに目が行きがち。
でも実際には、建物以外にも多くの費用がかかるのが現実です。
「土地はいくら?」「ローンって申し込むだけでお金かかるの?」「登記費用ってなに?」
そんな疑問を感じたことがある方に向けて、家以外にかかる“見えにくいお金”をわかりやすく整理していきます。
土地購入時にかかる費用は?本体価格だけじゃない!
土地を購入する場合、支払うのは「土地代金」だけではありません。
以下のような費用が別途発生します:
- 仲介手数料:売主が不動産会社でない場合、
「土地価格×3%+6万円+消費税」が相場 - 登記費用:所有権移転登記にかかる登録免許税と司法書士報酬(20万〜30万円)
- 印紙税:土地売買契約書に貼る印紙代(1,000円〜数万円)
たとえば、土地価格1,500万円の物件を買う場合、
総額で約1,580万〜1,600万円前後かかるイメージです。
住宅ローンを組むだけでお金がかかる?
意外と知られていないのが、住宅ローンを借りるだけでも費用が発生するということ。
主な内訳は次の通りです:
- 事務手数料:銀行への手続き費用(3万円〜5万円 or 借入額の2%前後)
- 保証料:ローン保証会社へ支払う費用(数十万円)※保証料なしの銀行もあり
- 印紙税:金銭消費貸借契約書に貼る印紙(2万円〜)
- 抵当権設定登記費用:ローン担保としての登記手続き(10万円〜)
住宅ローンの借入額にもよりますが、全体で30万〜60万円程度は想定しておくと安心です。
火災保険・地震保険も“引き渡し前”に必要
住宅ローンを借りる際、ほぼ加入が必須となる火災保険(+地震保険)も忘れてはいけません。
保険料は:
- ✔ 火災保険(10年一括):15万〜30万円
- ✔ 地震保険(オプション):10万〜20万円
となるケースが多く、これらは建物完成・引き渡し前にまとめて支払うのが一般的です。
仮住まい・引っ越し・家具家電の費用も忘れずに
意外と見落としがちなのが、
- ✔ 建て替え・住み替えの場合の仮住まい費用
- ✔ 引っ越し業者への依頼費(5万〜15万円)
- ✔ 新居用の家具家電購入(冷蔵庫・照明・カーテンなど)
これらもすべて「家を建てて住むために必要な出費」です。
特に家電・カーテン・エアコンなどは、意外と予算を圧迫しやすいので、あらかじめ5万〜20万円程度は計上しておきましょう。
次の章では、「予算オーバーしない人」が必ずやっている3つの資金計画習慣について、
無理なく理想の家を建てるための“具体的な行動”をご紹介します。
「予算オーバーしない人」が必ずやっている3つの資金計画習慣
理想の家を考え始めると、つい欲張ってしまうもの。
「せっかくだから収納を増やそう」
「キッチンはグレードアップしたいな」
「3階建てにして、将来の部屋も確保しよう」
でもその結果…
「気づいたら500万円オーバーしていた」
「ローンが月々10万円を超えてしまった」
なんてことになれば、せっかくのマイホームが“重荷”になりかねません。
そこで今回は、予算内で家づくりを成功させた人たちが実践していた
「資金計画でブレない3つの習慣」をわかりやすく紹介します。
① 「月々いくら払えるか?」を最初に決めておく
資金計画でまずやるべきなのは、“借りられる額”ではなく“返せる額”から逆算すること。
たとえば:
- ✔ 毎月の住宅ローン返済は家賃+1万円以内
- ✔ ボーナス払いはなし、もしくは少額で
というように、生活を圧迫しない“安心ライン”を明確にするのがポイントです。
この基準がブレないと、
営業担当に高額なオプションを勧められても「それは予算外なので」と
冷静に判断できるようになります。
② 「建物本体」だけじゃなく「総額」で見るクセをつける
見積書に出てくる「建物価格」は、あくまで“本体”の値段。
狭小住宅の場合、
- ✔ 地盤改良
- ✔ 外構工事
- ✔ ローン手数料・登記・保険
など、本体以外にも数百万円が必ずかかることを理解しておく必要があります。
家づくり=建物だけではないと捉えることで、
「あとからお金が足りない!」という失敗を防ぐことができます。
③ 「やりたいことに優先順位をつける」習慣を持つ
希望を全部盛り込むと、どんどん予算は膨らみます。
だからこそ、
- ✔ “今”絶対に必要なもの
- ✔ “後から追加できるもの”
- ✔ “なくても困らないもの”
といった“優先順位リスト”をつくっておくことが大切です。
たとえば、
- ・太陽光発電は後からでもOK
- ・外構は最低限、将来DIYでも
- ・収納は家族が増えたタイミングで見直す
など、“削るのではなく後回しにする”という選択で、
理想と現実のバランスを保つことができます。
次の章では、お得に建てるには?補助金・減税・住宅ローン控除のかしこい活用法について、
使える制度を上手に取り入れて“賢い家づくり”を進めるヒントをご紹介します。
お得に建てるには?補助金・減税・住宅ローン控除のかしこい活用法
「家づくりってお金がかかる…」
そう感じている方にぜひ知っておいてほしいのが、
「国や自治体が用意している補助制度・税制優遇」です。
これらを正しく活用することで、100万円以上の差が出ることもあるんです。
今回は、家づくり初心者でも利用しやすい代表的な3つの制度を紹介します。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
住宅ローン控除は、マイホーム購入者に対する最大の減税制度。
条件を満たすことで、年末のローン残高の0.7%を最大13年間、所得税(+住民税)から控除できます。
たとえば:
- ✔ 借入残高3,000万円の場合 → 年間最大21万円
- ✔ 13年間で最大273万円の控除
狭小住宅でも、一定の基準(床面積40㎡以上)を満たせば対象になるため、確認しておきましょう。
地域によっては“子育て世帯向け補助金”も!
国や自治体では、子育て・若年世帯向けの補助制度を積極的に用意しています。
例として:
- ✔ 長期優良住宅を建てた場合の補助(最大100万円)
- ✔ 省エネ住宅に対する補助金(こどもエコすまい支援など)
- ✔ 地域による土地取得補助、引っ越し費用助成など
狭小住宅でも基準を満たしていれば対象になるケースが多く、
ハウスメーカーや設計士が申請を代行してくれる場合もあります。
贈与税の非課税枠を活用すれば“親からの援助”も安心
家づくりの頭金や諸費用を、親から援助してもらうこともありますよね。
そんなときに使えるのが、「住宅取得等資金の贈与税非課税制度」。
条件を満たせば、最大1,000万円まで非課税で贈与を受け取ることができます(※2024年時点)
これは将来的な相続対策にもなり、親御さんにとってもメリットのある制度です。
注意点は、申告が必要なことと、契約書の内容や期日などに条件があること。
早めに税理士や住宅会社と相談して進めましょう。
\この記事のまとめ/
- 建築費だけで家は建たない!諸費用や土地代、ローン手数料など“見えないお金”も予算に含めよう
- 狭小住宅特有のコスト(基礎工事・3階建て・施工難)にも注意が必要
- “建物以外”にかかるお金を一覧で把握し、漏れのない資金計画を
- 予算オーバーしないためには、「返せる額」から逆算+優先順位づけがカギ
- 補助金・減税・非課税制度をうまく活用して、かしこくマイホームを実現
理想の家を建てるには、「お金の不安」をクリアにすることが第一歩。
正しい情報と、ちょっとした工夫があれば、
狭小住宅でも“無理せず・満足度の高い暮らし”はきっと叶えられます。
焦らず、でも確実に。
あなたに合った資金計画から、理想の住まいづくりを始めていきましょう。
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